薬剤師のケースレポート日誌

国内外の医薬品有害事象に関する報告をデータベース化する試みです。

ドネペジル: 冠攣縮性狭心症

塩酸ドネペジルにより誘発された冠攣縮性狭心症1

心臓Vol. 41 (2009) No. 9 p. 1024-1030

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被疑薬:ドネペジル(代表的な商品名▶アリセプト

症例

 

77歳、男性、陳旧性心筋梗塞、高血圧の既往。喫煙40本×50年。冠攣縮性狭心症の既往はない。軽度の記銘力低下を認めたことから塩酸ドネペジルを投与開始となる。

症状

 

冠拡張薬抵抗性の胸痛を頻回に発症

疑われた

有害事象

胸痛は最終的に塩酸ドネペジルを中止するまで継続

塩酸ドネペジルにより誘発された冠攣縮性狭心症

その後の経過

ドネペジル中止のまま

40病日で退院となる。

失神や徐脈の報告が多いものの、冠攣縮性狭心症の報告は稀。ちなみにドネペジルを含むコリンエステラーゼ阻害薬の徐脈等のリスクを検討した観察研究が報告されている。

Syncope and its consequences in patients with dementia receiving cholinesterase inhibitors: a population-based cohort study.

 

Arch Intern Med.2009 May 11;169(9):867-73 PMID:19433698