パロキセチン:SIADH
パロキセチン内服中に低ナトリウム血症を来し,SIADHと診断された食思不振の高齢患者
日本老年医学会雑誌Vol. 45 (2008) No. 1 P 90-94
症例
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82歳男性,うつ状態に対してスルピリドを投与されていたがパーキンソニズムの副作用のため中止し、パロキセチン内服へ変更。その後食事,飲水ができない状況続いていた。 |
症状
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低ナトリウム血症が出現。緊急入院。血清ナトリウ 126mEq/mlと低下.ADH測定感度以上,血漿浸透圧242mOsm/kg,尿浸透圧439mOsm/kg,尿中ナトリウム100mEq/l以上 |
疑われた 有害事象 |
パロキセチンによると思われるSIADH |
その後の経過 |
中枢疾患や悪性腫瘍は否定され,薬剤性によるものと考え,パロキセチンの内服中止した.その後血清ナトリウム値は正常化し,自主的な経口摂取が可能となり退院した. |
※.SIADHにより生じた低ナトリウム血症の症状(全身倦怠感,食欲不振など)は,抑うつ状態と類似しているため鑑別が困難になる症例もある