薬剤師のケースレポート日誌

国内外の医薬品有害事象に関する報告をデータベース化する試みです。

ドネペジル:過量投与

Donepezil overdose: a tenfold dosing error.

Ann Pharmacother. 1999 Jul-Aug;33(7-8):812-5.PMID: 10466911[海外報告]

被疑薬:ドネペジル(代表的な商品名アリセプト

症例

アルツハイマー病の既往のある79歳の老人ホーム居住の白人女性。ドネペジル5㎎服用のところ50㎎を服用

症状

嘔気、嘔吐持続的な徐脈(心拍数40

疑われた

有害事象

ドネペジル過量投与

その後の経過

徐脈改善のためにアトロピンを投与。18時間で合計3.0㎎を投与した。

肺水腫の所見やさらなる嘔吐が見られなかった。

2日目に心拍数70となり帰宅

[添付文書の記載]

過量投与

1. 徴候・症状

コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。

2. 処置

アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.02.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。本剤あるいはその代謝物が透析(血液透析、腹膜透析又は血液濾過)により除去できるかどうかは不明である