チオトロピウムカプセル:過量吸入による難治性頻脈
Accidental overdose of tiotropium in a patient with atrial fibrillation.[海外報告]
Ann Pharmacother. 2010 Feb;44(2):391-3PMID: 20118141
被疑薬:チオトロピウムカプセル(代表的な商品名▶スピリーバカプセル)
症例
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74歳男性。心房細動で入院中。メトプロロールの投与で、心拍数は80~90beats/min.で安定。入院中誤ってスピリーバカプセルを1回に5カプセル(チオトロピウム90㎍)吸入 |
症状
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15分後に心拍数80~16beats/min.0に上昇
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疑われた 有害事象 |
チオトロピウムによる難治性頻脈 According to the Naranjo probability scale, our patient's development of tachycardia was probably associated with tiotropium inhalation. |
その後の経過 |
頻脈の制御は困難で、5日間にわたり、フィゾスチグミン、酒石酸メトプロロール、ジルチアゼム等の薬剤により加療。11日後に心拍数は40代となったため、房室ブロックのための薬剤が減量 |
腎機能が低下している患者ではチオトロピウム過量吸入の有害事象が出やすいと考察されている。
一般用医薬品:重篤な有害事象
一般用医薬品による重篤な副作用について
被疑薬:一般用医薬品(代表的な商品名▶※※※)
症例
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平成19年度から平成23年度の5年間に製造販売業者から報告された一般用医薬品の副作用報告数1220例 |
症状
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死亡症例24例(総合感冒剤12例,解熱鎮痛消炎剤2例,漢方製剤2例等) 後遺症が残った症例15例(総合感冒剤8例,解熱鎮痛消炎剤8例,カルシウム剤8例等) |
疑われた 有害事象 |
一般用医薬品による、中毒性表皮壊死融解症,肝障害,間質性肺疾患,スティーブンス・ジョンソン症候群等が原因の死亡や後遺症例 |
その後の経過 |
死亡、もしくは後遺症の残存
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※死亡症例として,製造販売業者から報告されたものであり,医薬品による副作用と死亡との因関係が不明のものを含んでいる。
※後遺症が残った症例として,製造販売業者から報告されたものであり,医薬品による副作用と後遺症との因果関係が不明のものを含んでいる。
上記報告に関しまして以下のウェブサイトに詳細がまとめられております。
カフェイン含有栄養ドリンク:急性腎不全
Energy drink-induced acute kidney injury.
Ann Pharmacother. 2014 Oct;48(10):1366-70. PMID: 24986632
被疑薬:カフェイン含有栄養ドリンク(代表的な商品名▶Red Bull.)
症例
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40歳男性 |
症状
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疑われた 有害事象 |
栄養ドリンク誘発性急性腎不全 |
その後の経過 |
レッドブル中止後2日以内に回復し、10か月間のフォローアッツプにおいて回復を維持。 |
この報告ではNaranjo adverse drug reaction probability scale評価を行い急性腎不全とレッドブル摂取の関連が示唆された。
セフジトレンピボキシル:代謝性脳症
Acquired encephalopathy associated with carnitine deficiency after cefditoren pivoxil administration.
Neurol Sci. 2012 Dec;33(6):1393-6. PMID: 22258360
被疑薬:セフジトレンピボキシル(代表的な商品名▶メイアクト)
症例
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47歳女性 |
症状
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Palinopsia(反復視)と亜急性精神変化 放射線検査より右後頭部に代謝性の細胞毒性浮腫と右後頭部と左前頭領域における頭蓋内出血を認める |
疑われた 有害事象 |
セフジトレンピボキシルによるカルニチン欠乏が引き起こしたと考えられる代謝性脳症 |
その後の経過 |
抄録に記載なし |
ピボキシル基を有する薬剤(セフカペン、セフジトレン、セフテラム、テビペネム、ピブメシリナム
)は低カルニチン血症に留意すべきである。特に小児においてはこれら薬剤による低カルニチン血症が引き起こす低血糖に関して注意喚起が行われている。
フェンタニル:オピオイド誘発性昏睡
Life-threatening coma and full-thickness sunburn in a patient treated with transdermal fentanyl patches: a case report.(海外報告)
J Med Case Rep. 2012 Jul 26;6:220. PMID: 22835002
被疑薬フェンタニルパッチ:(代表的な商品名▶フェントステープ ディロテップパッチ)
症例 |
症例は77歳白人女性(心房細動合併)。フランス南部においてフェンタニルパッチ製剤50μg/時間(1.2mg/日=exフェントステープ®であれば4mg、ディロテップパッチMT®であれば8.4mg)貼付中に太陽の下で眠ってしまった。 |
症状 |
体温core body temperature41度。日光浴中の重度のオピオイド中毒(呼吸抑制、縮瞳)を発症。 |
疑われた 有害事象 |
オピオイド誘発性昏睡 |
その後の経過 |
ナロキソン、パラセタモール静脈内投与、気管内挿管施行、ICU入室にて加療。体の前面の大部分をカバーする広範な紅斑。腹部と下肢に重度のやけど、脱水、急性腎障害、電解質異常への対応に静脈内輸液。徐々に回復をし、神経学的後遺症を残さず入院後7日で退院。その後熱傷のケアを受けるために専門施設に入院。 |
フェンタニルパッチを使用している患者は、安全に製剤を使用する方法について十分な指導を要する。医療従事者は誤って薬剤が使用されている場合、経皮的に吸収される薬物の過剰投与についての可能性について患者に警告する必要がある。フェンタニルパッチ使用中において上昇した温度は、全身循環への薬物の移動を促進する微小血管透過性を増加させる。体温が3℃上昇すると25%フェンタニルのピーク血漿濃度を上昇させると言われている。そのため薬剤使用中は電気毛布、湯たんぽ、サウナ、温水浴槽や日光浴のような熱源を避ける必要がある。さらにオピオイドの過量吸収により低下した意識レベルがもたらす火傷は、通常の火傷に比べて状態が悪い可能性もあり十分注意すべきである。
ドネペジル ブロムペリドール:悪性症候群
ブロムペリドールと塩酸ドネペジルの併用投与によって悪性症候群を呈したレビー小体型痴呆と考えられる1例
日本老年医学会雑誌Vol. 38 (2001) No. 6 P 822-824
被疑薬:ドネペジル ブロムペリドール(代表的な商品名▶アリセプト インプロメン)
症例 |
68歳の男性で67歳より具体的な生々しい幻視とそれに関連する妄想がありブロムペリドールを12mgまで投与し, アルツハイマー型痴呆が疑われたため塩酸ドネペジル5mgを追加 |
症状 |
1週間後にはパーキンソン症状が増悪し, 1カ月後, 極端な前屈姿勢のため眼瞼や前頚部の浮腫, 低蛋白血症がみられ, 1カ月半後, 悪性症候群が出現 |
疑われた 有害事象 |
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その後の経過 |
薬剤の中止, 輸液, 経管栄養により悪性症候群は軽快したが, 薬剤の中止から1カ月後もパーキンソン症状は残りレボドパの投与により軽減した. しかし幻視が再燃, 妄想は系統化し, 認知機能障害は悪化した |
ベンゾジアゼピン:呼吸抑制
遅発性呼吸抑制を呈したベンゾジアゼピン大量服薬患者の1例
北関東医学Vol. 63 (2013) No. 4 p. 365-368
被疑薬:ベンゾジアゼピン系薬剤(代表的な商品名▶レンドルミン、デパス等)
症例 |
37歳, 男性. 主訴は意識障害. 既往歴は双極性うつ病で精神科通院中. 家族との会話中に突然興奮状態となりベンゾジアゼピン系薬剤を大量服薬したため救急搬送。内服した薬剤は, ロヒプノール (1) 60錠, レンドルミン (0.25) 30錠, デパス (0.5) 14錠, レスリン (25) 14錠。 |
症状 |
来院時所見ではバイタル等は問題なかったが, 入院後経過は服薬後11時間30分後に呼吸抑制が出現したため気管挿管を行った。 |
疑われた 有害事象 |
ベンゾジアゼピン大量服用による呼吸抑制 |
その後の経過 |
翌々日には軽快 |