オセルタミビル クラリスロマイシン:薬剤性腎障害
オセルタミビルとクラリスロマイシンによる急性腎障害が疑われ, 緊急透析を施行した1例
日本透析医学会雑誌Vol. 47 (2014) No. 12 p. 755-759
被疑薬:オセルタミビル/クラリスロマイシン (代表的な商品名▶タミフル/クラリス、クラリシッド)
症例
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糖尿病歴10年の65歳女性。インフルエンザBと診断され, オセルタミビル, クラリスロマイシンの内服治療を開始。 |
症状
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2週間後, 徐々に尿量が低下し, 嘔吐, 全身倦怠感が出現。 著明な高K血症, 腎機能障害を認め, 緊急透析を施行し入院 |
疑われた 有害事象 |
本症例は受診までの経過, 来院後の検査結果からオセルタミビルとクラリスロマイシンを被疑薬とする薬剤性腎障害が最も考えられた。 |
その後の経過 |
2回目の透析後より徐々に, 尿量が改善し血液透析を2回施行し離脱。その後, 全身状態が軽快し退院 |
クラリスロマイシンには小児においてオセルタミビルやザナミビルで治療されたインフルエンザの再感染を減少させたとする後ろ向き解析の報告(※)もあり、実臨床において、本ケースのように併用されることも想定できる。しかしながら、そのベネフィットは前向き介入研究で示されたものではない。本症例報告は相互作用かどうかは不明であるものの、そのリスクの観点から現時点で併用は推奨されないと考える。
(※)Shinahara W, Takahashi E, Sawabuchi T.et.al. Immunomodulator clarithromycin enhances mucosal and systemic immune responses and reduces re-infection rate in pediatric patients with influenza treated with antiviral neuraminidase inhibitors: a retrospective analysis. PLoS One. 2013 Jul 17;8(7):e70060. PMID: 23875018