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薬剤師のケースレポート日誌

国内外の医薬品有害事象に関する報告をデータベース化する試みです。

抗精神病薬:ジストニア

抗精神病薬による薬剤性口顎ジストニアの1例

日本顎関節学会雑誌Vol. 26 (2014) No. 1 p. 15-19

[フルテキストPDF]

被疑薬:プロクロルペラジン,ブロナンセリン(代表的な商品名▶ノバミン、ロナセン

症例

20 代の女性。▶顎関節脱臼および顎の痛みにより救急車を要請し、救急科に搬送。救急科で採血と CT 撮影の後、右側顎関節脱臼の診断でプロポフォール鎮静下に徒手的顎関節脱臼の整復が行われた。しかし,覚醒直後に再度脱臼したとのことで口腔外科に診療要請。

症状

血圧 130/90 mmHg、脈拍 83 回分、体温 36.9℃ 、血液検査データは正常範囲内。左側前腕にリストカット痕。開眼失行,眼球上転。左側咬筋,外側翼突筋の過緊張を認め,会話困難。徒手的な強制開口が非常に困難。両側ともに顎関節部の陥凹はなく、顎位は閉口状態であり、脱臼は疑われず下顎の右方偏位をきたしていた。

疑われた

有害事象

患者の年齢,リストカット痕などの所見より,全身疾患や薬剤性などの二次性口顎ジストニアを強く疑い,病歴の再聴取を行った。その結果,統合失調症にてプロクロルペラジン,ブロナンセリンの 2 剤を内服していることが判明。精神科医師の診察により急性の薬剤性口顎ジストニアと診断

その後の経過

抗精神病薬による薬剤性ジストニアの治療として第一選択薬とされるアセチルコリン阻害薬の乳酸ビペリデンを,最低用量である 5 mg 筋肉注射し、5 分後には開眼失行,眼球上転が消失し,下顎の右方偏位および開口困難の症状が著明に改善した。その後,患者の通院している精神・神経科に対して,現在の内服薬の調整や薬剤性口顎ジストニアの治療継続を依頼し終診となる。