インフリキシマブ: ニューモシスチス肺炎
インフリキシマブ投与中に発症したニューモシスチス肺炎の一例
日大医学雑誌Vol. 69 (2010) No. 1 P 58-61
被疑薬:インフリキシマブ(代表的な商品名▶レミケード)
症例
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71 歳,関節リウマチ (RA) にて加療中の男性 infliximab (IFX) (260 mg) を毎月 1 回,約 1 年間投与 |
症状
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発熱,呼吸困難のため入院 胸部 X 線にて,両側性の浸潤影を認め, 入院時より重症の低酸素血症のため人工換気を要した |
疑われた 有害事象 |
胸部 CT における全肺野に及ぶ地図状のすりガラス陰影の出現により,Pneumocystis pneumonia (PCP) と診断 |
その後の経過 |
ST 合剤投与により速やかに臨床症状の改善
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MTX, IFX 治療を行い免疫抑制状態となった患者にしばしば感染性肺炎や薬剤性肺炎による急性肺障害が発症する.長期に免疫抑制治療を行っている高リスク患者においては,鑑別診断として PCP を念頭に置く必要がある.また,発症予防としての ST 合剤の投与も検討すべき。IFNの投与を受けている本邦のリウマチ患者では0.4%でPCPの発症が報告されており、これは米国の0.012%の30倍に相当するという。
(関連)リウマチに対する生物学的製剤